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2025.08.23

ブログ 経営

NO.182 「量をこなす者だけが質を語れるのか」~経験と洞察の関係を問い直す~


「量をこなしていない人間に、質を語る資格はない」
この言葉は、経営の現場でもしばしば耳にします。確かに、何を省いてよいか、何を省いてはいけないかは、実践を重ねた者にしか見えてこない。量をこなすことで初めて、質の本質が見えてくるという考え方には一理あると思います。

しかし、経営者としてこの言葉をそのまま受け入れることには、慎重であるべきだと感じます。なぜなら、量をこなすことが必ずしも質を生むとは限らないから。

惰性で繰り返される業務、思考停止のルーティーンワークは、いくら積み重ねても本質には届きません。量は必要条件であっても、十分条件ではないと思います。
一方で、経験の浅い人材が鋭い問いを投げかける場面もあります。外部からの視点や、理論的な理解によって、実践者とは異なる角度から「質」を見抜く力を持つ人も少なからずいます。こうした視点を排除してしまうと、組織は内向きになり、変化への感度を失います。

経営において重要なのは、「量をこなした者の言葉には重みがある」と同時に、「量をこなしていない者の問いには純粋さと可能性がある」と認識することです。経験者の知恵と、未経験者の直感が対話することで、質はさらに磨かれていくと言えそうです。

だからこそ、組織づくりにおいては「量をこなした者だけが語る資格を持つ」という序列的な文化ではなく、「語ることを通じて互いに学び合う」文化を育てるべきです。量をこなすことは尊い。しかしそれは、他者の問いを退ける理由ではなく、対話の土台となるべきものです。

量をこなしてきた知見の深いベテランの絶対的自信に、まだ組織に染まり切らないほどの新人がふと投げかける「それをやる意味とは何ですか?」「これは、どうしてそうやるのですか?こうではダメですか?」という問いが交通事故のようにぶつかった時、恐るべきイノベーションが生まれる可能性も否定できません。じょうむ

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